2013年9月10日 第10回調査団訪朝報告・墓参説明会(東京)
調査団訪朝の帰国からわずか5日後、東京・参議院議員会館で報告会が開催された。会場には、マスコミを含む総勢70名弱が集まり、現地調査から戻ったばかりの水野直樹教授の解説に耳を傾けた。

1.主催者挨拶
北遺族連絡会 代表幹事 正木 貞雄
2. 来賓挨拶
参議院議員 浜田 和幸 様
拉致被害者家族会
前事務局長 蓮池 透 様
3. 調査団訪朝報告
北遺族連絡会諮問委員会代表
京都大学教授 水野 直樹
(映像、地図を使用しながらの解説)
※詳しくは当HP
「調査団訪朝報告」ページ参照
4. 事務局から
北遺族連絡会事務局長 太西るみ子
5. 社会科学院歴史研究所
チョ・ヒスン所長 ビデオメッセージ
6. 来賓挨拶
一水会代表 木村三浩 様
1:来賓からの挨拶
北遺族連絡会の正木代表幹事の挨拶の後、参議院議員浜田和幸先生よりお言葉を頂く。「現在、シリアを巡って必ず北朝鮮の話が出てくるが、北朝鮮を悪とするアメリカの見方に簡単に乗ってはならない。日本独自の視点で、北朝鮮の実情、彼らの目指す方向を読み解く必要がある」「連絡会の活動は、日本が世界に対し、人道を大切にする国だとアピールする数少ないチャンスだ」。
続けて、蓮池透氏が、「昨年は、小泉訪朝から10年ということでマスコミも大きく取り上げたが、あれから1年、拉致問題は何の進展もない。それに比べ、連絡会のこの1年の活動は非常に活発だった」「今後も、この活動が着実に進み、日朝間のパイプがより太くなることを祈る。それが拉致問題の解決に近づく」と訴えた。
2:水野教授による現地報告
簡単な自己紹介と、調査団についての説明の後、訪朝前の事前調査及び現地調査について報告。
調査団は、水野教授を含む4名。出発前、北朝鮮地域等の引揚者等が残した資料約300点に目を通し、日本人が死亡した状況、埋葬された経緯や場所を調査。現地の関係者と情報を共有するため、一部をコピーし、北朝鮮に持参した。
現地では、竜山墓地、三合里埋葬地、古茂山、富坪、緑ヶ丘跡地、パンヒョン等を訪問。現地で撮影した映像や地図を見せながら、解説を行った。
水野教授は今回、3つの成果があったと説明。第一に、北朝鮮側の調査を指揮する歴史研究所のチョ・ヒスン所長に日本側の資料を手渡すことが出来き、情報交換を行うことが出来たこと。第二に、日本人の埋葬地・墓地を、地図や資料、証言を元に、現場で確認出来たこと。第三に、埋葬地・墓地である可能性が高い場所をいくつか発見できたこと。古茂山では、これまで知られていたところとは別の場所に埋葬地があることが、秋乙についても、「この辺りではないか」という推定が出来た。
今後については、日本政府がすでに持っている相当量の資料を公開すべきだと強調。特に日本の元軍人らの遺骨については、政府に責任があると訴えた。また、同問題について、緊急に対応すべきと発言。ご遺族がこれ以上待てないという日本側の事情だけではなく、北朝鮮側でも開発が進んでおり、墓地・埋葬地がいつなくなってしまうかも分からない上、現地で証言出来る人も少なくなってきているからだという。
最後に、一水会の木村代表が挨拶。「連絡会の活動は、軌道に乗るほど、外野からの雑音が入る。この雑音に対抗するためには、これらが本当に日本人の埋葬地・墓地なのだという第三者の客観的検証が必要。それだけに、水野先生方に現地の調査をして頂けるのは非常に頼もしい」「日本政府も持っている資料を公開し、スピード感を持って調査を進められるよう協力してほしい。私達も出来ることをする。この機運をいろいろな角度から盛り上げ、促進していくことが大切だ」と述べ、「今後は、遺骨の鑑定が出来る専門家が加わると、より説得力が増すのではないか」との提案も出した。
次回墓参訪朝は9月18日から11日間。その次は10月後半を予定している。