2014年7月15日 第17回 墓参訪朝報告・説明会

【正木代表幹事・太西事務局長より 説明】
最初に正木代表幹事より、「ストックホルムでの日朝協議で日本人遺骨問題が話し合われたことを受けて、皆さんにご報告しなければならないことがあります」との前置きの後、「今後の我々の活動は、国にやってもらわなければならないと思っております。現状では、高い旅費の負担に参加したくても参加できないご遺族もいます。この不公平をまず解消しなければなりません。また、ご遺骨の返還や墓標などの建立に至ってはとても我々ボランティアで解決できることではありません。これらのことは国が責任を持って解決すべきことだと考えています」と、会としての考えをお伝えさせて頂きました。
これを受けて、太西事務局長より、7月以降の墓参等についてどのような変化が起こりうるのか、北遺族連絡会の立場、方針等を交えながら、説明させて頂きました(詳しくは上記ご参照下さい)。
【来賓ご挨拶】
次に、連絡会の活動にご尽力を頂いている城島光力氏より、お話を頂きました。
城島先生は「先日の第9回墓参は、現地の様子が連日のように報道されておりました。それだけ、状況が大きく進展したのだと思います。扉を開いた者として、感慨深く(報道を)見ておりました」と感想を述べられました。そして、今後について、「予定では今月末から第10回墓参が予定されているようですが、ぜひ、主体は国レベルで・・・行うという方向で進めばいいなと思いますし、そうなるよう私も努力をしていきたいと思います」と述べられました。
蓮池さんからは、「国主体の墓参を実現するにあたり、ご遺族から国に働きかけることも有意義なのではないでしょうか。私もぜひ協力をさせて頂きたいと思います」と温かいお言葉を頂きました。また、今回日朝協議で議題に上がらなかった祐天寺の朝鮮人遺骨問題についてもふれられ、「将来的には、このご遺骨にも対処することが大切なのではないかでしょうか」と、双方にある遺骨問題を同時に解決することの必要性を訴えられました。
蓮池さんの問題提起を受け、一水会木村代表も、「祐天寺のご遺骨は、供養はされておりますが、現地にお帰りになることが出来ていません。私も、こういった問題も包括的に解決することが大事だと考えます」と同意の意を示されました。また、日朝協議を受けての今後について、日本人遺骨問題が、他の問題の進展具合の影響を受けないかが心配です。遺骨問題は人道的な問題なので、ぜひ確実に前に進めて頂きたいと思います」と強調されました。
1.主催者挨拶
北遺族連絡会
代表幹事 正木 貞雄
2. 事務局より
今後の方針についてご説明
3. 来賓挨拶
元財務大臣 城島光力 様
拉致被害者家族会
前事務局長 蓮池 透 様
一水会代表 木村三浩 様
4. 墓参訪朝ドキュメント放映
5. 事務局より/質疑応答
―事務局より、今後の活動についてご報告―
2014年5月下旬にストックホルムで開催された日朝局長級会議において、日本人遺骨問題に関わる合意がなされました。第一に、人的往来への規制措置が解除されたこと(日本人が北朝鮮に自由に出入り出来るようになりました)、第二に、北朝鮮国内の日本人遺骨及び墓地の処理・墓参について、「北朝鮮と引き続き協議し、必要な措置を講じる」ことが明記されました。
これをもって、北遺族連絡会も大きなかじ取りをしなければならない段階に差し掛かりました。遺骨問題への対応が国家間の合意となったこと、また、北朝鮮側はすでに外務省が前面に出て対応をして下さっている以上、日本側から、民間団体である北遺族連絡会が出ていくようなことは控えなければならないと思っています。国レベルで取り組むとの合意がなされた以上、私たちがどこかで引かないと、物事は前に進まないと考えるからです。
そこで、これまでのように、北遺族連絡会が主体となっての墓参事業は、控えることに致しました。それは、ストックホルム合意の中にある墓参・遺骨収容・墓標の建立からは手を引くということです。今後は、政府から要請があった場合のみ、協力をさせて頂きます。7月31日に予定していた墓参も、現在、日本の外務省の返事を待っている段階です。
いずれにしても、私たちはたくさんの方々のお力を借り、9回の墓参を実施し、今回、このように国にバトンを渡すことが出来ました。安堵と、今後への若干の不安が混在しており心中複雑ですが、現状を見れば、6月の墓参自体は大成功でしたし、日朝会談もこのように動いており、未来は明るいのではないかと思っております。
なお、北遺族連絡会自体は解散せず、これからもご遺族の方々にとっての情報収集・情報交換の場として、機能させていく予定です。
~ご遺族の皆様へ:今後の遺族登録・墓参について~
今後墓参を希望されるご遺族は、その旨を自ら外務省に伝えて頂きたく思っております。
また、現在、登録費を頂いた上で「遺族登録」を行っていますが、こちらは引き続き行います。北朝鮮の地方に行く場合、遺族の墓参ということで毎回特別な許可を得ています。墓参を希望する場合は、遺族であることを証明しなければならないし、行きたい理由を明確にする必要があります。この部分に関しては、これまで同様に諮問委員の先生方の協力を得ながら行っていきます。