2013年12月6日 第12回墓参訪朝報告会 説明会(東京)
12月6日、今年最後となる報告会・説明会を参議院議員会館にて開催、総勢70名弱が集まった。この日は、同墓参の実現に向け多大な貢献をして下さった前財務大臣城島光力氏も駆けつけ、1年の締め括りにふさわしい会となった。

1.主催者挨拶
北遺族連絡会 代表幹事 正木 貞雄
2. 来賓挨拶
前財務大臣 城島 光力 様
参議院議員 浜田 和幸 様
拉致被害者家族会
前事務局長 蓮池 透 様
一水会代表 木村三浩 様
3. 北遺族連絡会1周年ドキュメント放映
4. 墓参訪朝参加者からのご報告
ご遺族 関 孝三郎 様
ご遺族 岩田 恒明 様
5.事務局よりお知らせ
【正木代表挨拶】
連絡会結成一年を受け、正木代表より挨拶。「こうしてお元気でお集まりになる皆様のお顔を拝見する度、[removed]私も頑張らなければと身が引き締まる思いです。私達が生まれた昭和初期は、満州事変、2.26事件など軍靴の足[removed]音響く時代でした。そして、戦争、[removed]戦後の混乱と暗い青春期を過ごし、[removed]今なおそのキズの後始末をするため北朝鮮に行っております。[removed]当地には約21300体のご遺骨が残されており、ご遺族は5万人[removed]にも登ると思われますが、永年の願いが叶ったは、ほんの50名ほ[removed]どです」と現状を振り返った上で、「まだまだ多くのご遺族の方が墓参を希望しておられることと思いま[removed]す。私達は最後のお一人になるまで頑張りたいと思いますので、[removed]どうぞご安心下さい」とまとめた。
【来賓からの挨拶】
次に、墓参訪朝の実現に向け、当時与党として力を尽くして下さった城島様よりお言葉を頂く。
「当時民主党政長会長代理をしていた頃、正木代表に生きているうちに墓参をしたい、もう時間がないと切々と訴えられた。あれほど胸に響いた陳情はなかった。心に響くことは何としてもやらなければ、人道的見地から実現させねばと感じ、与党の人間として動いた。それがきっかけのひとつとなり、このように道が開けたことを嬉しく思う。墓参実現に向け関係省庁が様々な壁を乗り越えて動いてくれたのも事実。来年以降もこの事業が続くことを願う」。
続けて、浜田先生よりご挨拶を頂く。参議院議員の立場から特定秘密保護法案の成立に警鐘を鳴らし、「これは、墓参訪朝事業にも若干からんでくる部分がある。あの国がどのような状況にあるのか、常に情報を得る努力をしていかなければならない。知る権利や情報公開があってこそ、国全体としてこの事業を動かしていくことができる。しかし、情報を得ようとする行動の結果法律を犯してしまい処罰の対象となる可能性もある」などと危惧。「今の状況は審議が尽くされていない」と批判した。
蓮池氏も、「拉致問題も秘密法が対象としているものに該当してくるため、今後、今以上にこの問題の真相が闇の中に葬られるのではないか心配だ。拉致問題にとっても遺族連絡会にとってもいいことは何もないように思う」と懸念を述べた。また、連絡会については、「今年つつがなく墓参が行われたことを喜ばしく思う。来年もこの事業が拡大し、より多くのご遺族が訪朝できること、そして、将来的な納骨につながっていくことを願う」とコメントした。
最後に、一水会の木村代表が、現在の日朝政府間のパイプのなさを指摘。その上で、「この墓参が唯一の光となり、流れとなっていってほしい。そうなってこそ、ご遺骨の帰還につながるのではないか」と述べ、「この墓参事業が今後の日朝関係改善の軌跡となってほしい。来年もさらに活動が発展していくことを願う」と締めくくった。
【1周年ドキュメント放映・事務局長よりコメント】
続けて、この1年の活動をまとめた13分程度のドキュメント映像を上映。共和国側の受け入れ担当である「朝日交流協会」スタッフから、墓参に参加したご遺族へのメッセージも流した。
これを受け、太西事務局長が、「墓参受け入れ準備も同行も大変な仕事だと思うのですが、先方は自らの苦労を口にすることはけしてなく、いつも「また来て下さいね」と言って下さいます。彼らに対して感謝の気持ちが絶えません」とコメント。ご遺族の方々に対しても、「10日間という行程は大変だと思うのですが、訪朝後も毎回連絡会の集まりに来て下さっています。遠い方だと、九州から足を運んできて下さっている方もいらっしゃいます。本当にありがたいことだと感じています」と感謝の気持ちを述べた。
そして、「私たちの活動は、共和国との関係がないと出来ません。この1年、墓参を続けていて、細い糸がだんだん太くなり、いろいろな話が出来るようになってきました。私たちの事業は政治的なこととは一切関係ありませんが、いつの日か日朝の関係が改善し、お盆や暮れにご遺族の方々が現地にお墓参りが出来るようになればと願わずにはおられません。そして、そのような日が来るまで、私たちも頑張りたいと思います。ご遺族の皆さまも健康に注意し、何度でも墓参にご参加下さい。ご遺族が顔を見せることが、共和国のスタッフにとっても力になると思います」と述べた。
【ご遺族からのお話】
関孝三郎さん
「今回、67年ぶりに共和国の地を踏んだが、悔しいのは、行くときに友人や親戚などから、「行ったら帰ってこれないのではないか」と言われたこと。日本人の中にしみ込んだあの国へのイメージが残っているのだろう。しかし、私を含む参加者は皆、現地で手厚いおもてなしを受け、共和国の方々がなぜここまでしてくれるのかと感激した。城島さんにお願いしたいことがある。遺骨のある場所はだいたいわかっている。そこに日本人の墓として、墓標のようなものを作れないか。そうすれば、私たちもその場所を訪問して墓参ができる。そうなればありがたい」
岩田恒明さん
「今年最後の墓参に参加させてもらったが、実は、墓参ができることを8月中旬にあるテレビで見るまで知らなかった。行って本当に良かったと思う。共和国の方々の丁寧な対応に感激した。かつて約7ヶ月抑留されていた場所も、今は大学になっていたが、近くにお寺があったことを現地の人に伝えたら、そこまで案内してくださった。また、通訳の方に、今回お世話になりましたとお礼を述べたら、「人間ですから。私も父を亡くしています」という返事が返ってきた。胸が熱くなった。日朝にはいろいろな問題がある。でも、このとき、人間同士心が通じ合うものを感じた。近い国なのだから、早く拉致問題などが解決され、お互い自由に行き来出来るようになればと願っている」
【事務局より】
共和国との打ち合わせの結果、来年は4月から墓参を再開する方向です。年4回ほど実施し、参加者は約50名程度を考えています。コースはその都度決めたいと思います。また、調査団がもう一度現地入りする予定です。連絡会の集まりは、今年と同じくらいのペースで出来ればと思っております。詳しいことは来年初めに先方と打ち合わせをし、後日ご報告をさせて頂きます。




